企業ブログを始めるべきか。それとも別にリソースを投入するべきか。実際、多くの代表の方または担当者が同じ悩みを抱え、ご相談をいただきます。先に伝えてしまいますが、「すぐに成果が欲しい」「短期間で投資を回収したい」という安直な考えである場合、むしろ始めない方が賢明です。今日のデジタル時代において、アウトバウンドを基軸とした宣伝だけでは顧客の心を掴めません。だからこそ、インバウンドの視点を取り入れ、中長期的なスパンで続ける企業ブログの必要性だけが高まっています。今回は、企業ブログの本当の価値と、必要とされる理由について以下に分けて詳しく解説します。企業ブログを始めるべきかどうか、そしてどのようにアプローチすべきかを明確にするきっかけになれば幸いです。企業ブログが必要なたった1つの理由企業ブログが必要な理由は、シンプルに「もう企業から一方的に伝えてもサービスやモノは売れないから」です。インターネットが普及し、情報へ簡単にアクセスできる現代において、消費者の購買行動は大きく変化しています。もちろん、完全に売れないとは言い切れません。とはいえ、顧客に向けて一方的なメッセージと商品だけを伝える手法で得られていたマーケティング効果は、着実に薄くなっています。『調べる』が間に割り込んできたかつては、店員が通りで大声で「おにぎり、いかがですか!」というように、呼び込むだけで商品が売れることもありました。しかし、今では消費者の「調べる」行動が購買の間に挟まります。おいしいおにぎりの作り方をブログやSNSで公開し、販売するおにぎりへのこだわりや生まれた経緯安全性や具体的な活用シーン上記に添えて、「おにぎり、いかがですか?」と伝える方が、消費者に必要性を感じてもらいやすくなります。簡単に思いつくのは、おそらく以下の2つのはずです。サービスやモノを見聞きしてから『調べる』『調べる』とサービスやモノにたどり着くいわゆる背景やストーリーが、サービスやモノの価値を高めて顧客に買いたいと思わせることにつながります。この変化の背景には、アウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングへの移行があります。一方的な情報発信から、顧客の興味や関心を引き、自発的な接触を促す方法へと、マーケティングの本質が変わってきているのです。アウトバウンドとインバウンドの違いアウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違いは、企業ブログの必要性を把握する上で知っておかなくてはなりません。その本質の違いから、アプローチにも変化があるからです。以下の表で、両者の主な特徴を比較します。サービスやモノの売れ方との違いが少しでもはっきりしたら、もうアウトバウンドよりもインバウンドが時代にマッチしていると感じてもらえるはずです。比較項目アウトバウンドマーケティングインバウンドマーケティングアプローチ方法企業から顧客へ一方的に発信顧客の興味・関心を引き、自発的な接触を促すコミュニケーションの性質プッシュ型(中断型)プル型(許可型)顧客との関係性短期的、取引志向長期的、関係構築志向コンテンツの焦点製品・サービスの宣伝顧客における課題解決や価値提供効果測定すぐに的な反応や売上長期的な顧客生涯価値(LTV)コスト構造継続的な広告費用が必要初期投資後、長期的に効果が持続アプローチの特徴押し売り的顧客の興味を引き寄せる顧客体験一方的、時に迷惑双方向的、価値提供信頼関係表面的、一時的深い、長期的ブランド認識単なる商品文化や生活の一部効果の持続性広告をやめると効果も消えるコンテンツが残り続ける限り効果も持続この文脈で企業ブログの本質を捉えると、「顧客との信頼関係を構築しながら、企業のブランド価値を高める」ものだということです。そうなると、すぐに売ろうと考えるのではなく、中長期的にサービスやモノを大事にしてくれる顧客を集め、持続可能なビジネスを構築し続けなければなりません。この大きな目標を掲げなければ、企業ブログを運営する意味はないに等しいです。もう少し、すぐに売ろうと考えること、つまり短絡的な考え方の企業ブログの危険性にも触れておきます。アフィリエイトの考えが間違いを生む企業ブログの価値を正しく理解する上で、アフィリエイト副業の考え方が誤解を生む原因となっています。以下の情報は、企業ブログの本質を見誤らせる『まったくの別物』だからです。すぐに売れる即効性がある副業で100万円をすぐに得られるいずれにおいても、大半は『短期的な利益を得て、その後の情報商材の購入者をフォローしない仕組み』になっています。極端に言えば、誰でも簡単にできれば皆がお金持ちになっているはずです。しかし、現実はそうではありません。この理由は、インバウンドマーケティングにおける真の価値提供ができているかどうかにあります。短期的な利益を追求するのではなく、顧客に本当の価値を提供し、長期的な関係を築くことが企業ブログでは求められるのです。では、短期的な視点では、企業ブログはどのような価値を持つのでしょうか?次の章では、企業ブログの効果が現れるまでの期間と、間に起こる変化について詳しく見ていきましょう。企業ブログを短期スパンで考えるなら必要ない先にも触れたように、企業ブログは一部のアフィリエイトのように、短期的な成果を求めるものではありません。むしろ、中長期的な視点で取り組むべきものです。短期間で効果を期待するなら、率直に言って企業ブログは必要ありません。なぜなら、企業ブログの立ち上げと運営には相当な時間と労力が必要で、適当にやっても無駄になるだけだからです。担当者の選定執筆環境の構築コンテンツ戦略の策定継続的な記事の執筆や更新SEO対策読者とのエンゲージメントの維持加えて、信頼関係の構築や、ブランド価値の向上にも時間がかかります。とはいえ、企業ブログの真の価値は、時間をかけて築き上げる顧客との関係性にあります。そして、短期的な視点で価値を十分に引き出すことはできないのは、検索エンジンに読み込まれるまでの期間ごとの変化からも明らかです。1〜3か月:ほぼ動かない企業ブログを始めてから最初の1〜3か月は、ほとんど目に見える効果が現れない期間です。この時期は、主に基盤作りと初期のコンテンツ制作に費やされます。トラフィックは徐々に増加し始めますが、伸びは緩やかです。例外的に、情報が少ない分野(いわゆるブルーオーシャン)では、1週間程度で検索順位が上昇する事例もあります。また、ブログの運営力が高まれば、競争の激しい分野(レッドオーシャン)でも、1〜2日で検索結果の100位以内に入ることもあります。しかし、このケースは極めて稀です。大多数の企業ブログは、この期間中はほとんど動きが見られません。むしろ、この時期は将来の成長に向けた種まきの時期と捉える期間です。3〜6か月:動きが見えてくる企業ブログを始めてから3〜6か月が経過すると、少しずつ動きが見え始めます。この時期は、それまでの努力が実を結び始める重要な転換点です。検索順位が徐々に上昇し、オーガニック検索からのトラフィックも増加し始めます。また、ブログの内容に興味を持った読者からのお問い合わせも、少しずつ出始める時期です。しかし、この段階でも効果を期待するのは早計です。更新頻度や公開記事数、SEOなどのテクニカルな施策の積み重ねが不十分な場合、この時点でも目立った効果は現れません。継続的な努力と改善が、成功には必要不可欠です。6か月以上:やっと本格始動する企業ブログを始めてから6か月以上が経過すると、ようやく本格的な効果が現れ始めます。この時期になると、それまでの地道な努力が実を結び、目に見える形で成果が現れ始めます。ブログ運営にかかるコストに対する収益の比率が改善し、検索エンジンでの順位の安定や、オーガニックトラフィックの増加が顕著な例です。また、ブログを通じて構築された信頼関係により、問い合わせや商談の質も向上します。しかし、簡単にたどり着くのではなく、6か月以上にわたる継続的な努力と改善の積み重ねが成果につながっているのです。このように、短期的な視点では企業ブログの価値を十分に引き出すことはできません。では、次に中長期的な視点での必要性について考えてみます。企業ブログは中長期スパンだと必要性が高い企業ブログは、中長期的な視点で見ると、必要性と価値が高くなります。以下に、企業ブログの主要なメリットをリストアップします。メリット説明潜在顧客のインサイト獲得興味や課題を深く理解できる情報発信のコントロール自社の強みや価値観を直接伝えられる持続的な集客長期的なSEO効果により、安定した集客が可能顧客ロイヤリティの向上継続的な価値提供により、信頼関係を構築採用活動への活用企業文化や働き方を発信し、優秀な人材を惹きつけるブランド価値の向上専門性や信頼性を示すことで、業界での地位を確立コスト効率の良いマーケティング長期的には広告費用の削減につながるこのメリットは、時間をかけて蓄積されていくものであり、企業ブログは中長期的な戦略として実施できてこそ、価値があるものだと言えます。『続ける』ことに意味がある企業ブログの必要性を認識して実施を決めたら、まず継続できる仕組みを作ってください。定期的な記事更新には時間と労力が必要で、運営には人手も必要となります。継続できればSEOの効果も蓄積でき、読者との信頼関係まで深まっていきます。逆に、以下のような理由で更新を止めてしまうと、これまでの努力が水の泡になることは避けられません。時間がないネタが尽きる効果が見えないしんどい・面倒くさいこの課題については、企業ブログが続かない4つの理由と対策でも詳しくお伝えしています。いずれにおいても、いきなりスタートして継続できるほど甘い世界でもないということは経験上からもハッキリとお伝えできます。では、企業ブログをスタートするタイミングはどのように判断すれば良いのでしょうか?次は具体的にいつ始めるべきかにも触れておきます。企業ブログをスタートするタイミング企業ブログをスタートするベストなタイミングは、実は「今」です。ただし、ここで言う「スタート」とは、すぐに記事を書き始めることではありません。まずは、企業ブログの導入を検討する段階から始めるべきです。具体的には、以下のような点を詳細に検討してください。ブログの目的は何か?どのようなテーマで記事を書いていくか?ターゲット読者は誰か?どのような価値を提供するか?運営体制をどうするか?この点を十分に検討し、明確な方針を立てることが、成功への第一歩となります。すぐ動くと失敗するAIによる文章生成技術の発展により、企業ブログの執筆環境は整いつつあります。実際に、このブログはAIが執筆し、代表である私が加筆・修正したものです。そして、構成の作成から公開までかかった期間は1〜2日だけ(実働的には8時間未満)です。しかし、この環境が整っているからこそ、慎重なスタートが求められます。特に、以下のような行動はこれまで何度も失敗した例を見てきました。ブログ運営を特定の社員に丸投げするテーマや書き方、テクニカル施策を十分に検討せずに始める適当に雑記ブログを書く(社員が適当に書く)費用を投じ、新たな顧客の獲得や今後のマーケティング手法として取り入れることを考えて、無料で手軽にといった考え方は捨てた方が良いです。実際の企業ブログで効果的かつ無駄のない運営を行うためには、十分なSEO関連の知識が必要です。AIも同様に知識がなければ使いこなせません。知識を身につけてから執筆を始めることが、遠回りであり最短ルートでもあるのです。できないことだけ支援を受けるただし、企業ブログをスタートする際に、すべての知識を完璧に身につけてから始める必要はありません。実際、1〜2か月の準備期間ですべてを学ぶことは困難でしょう。とはいえ、すぐに始めたい気持ちもわかります。そこで、専門家と協力して、以下のようなアプローチを取ることをおすすめします。まずは手を動かして書き始める書きながら学びを深める継続して更新できる社内体制を構築するこのアプローチなら、導入と実施を並行して進めることができます。そして、自社でできないことや不安な部分だけ、外部の専門家の支援を受けるのが効率的です。大切なことは、『最初の記事だけでも専門家のアドバイスを受けること』です。何が良くて、何が悪いのか、どうしたら良くなるのかは、具体的なアウトプットから指摘を受けた方が圧倒的に学びも多くなります。学びから成長した分だけコストも下がっていく専門家の支援を受けながら実践を重ねていくことで、徐々にブログ運営のノウハウが蓄積されます。最初は投資が必要であっても、外部への依存度が下がり、コストの削減にもつながります。いわゆるインハウス化と呼ばれる方法で、以下のような段階を踏むのが特徴です。段階内容初期段階専門家の全面的な支援を受け、基礎を学ぶ中期段階一部のタスクを内製化し、難しい部分のみ支援を受ける長期段階ほとんどの作業を自社で行い、専門的なアドバイスのみ外部に求めるこの過程で、社内のスキルセットが向上し、より質の高いコンテンツを効率的に生産できる体制を構築できます。企業ブログの運営は、完璧を目指すのではなく、まずは小さく始めて徐々に成長させていく姿勢が大切です。専門家の支援を受けながら実践と学習を繰り返し、長期的に価値のあるメディアを構築してください。企業ブログの導入や運営について、専門家のアドバイスが必要な場合は、MOCO Worksでも気軽な相談から受け付けています。>>お問い合わせはこちらMOCO Worksの企業ブログ支援サービスMOCO Worksでは、企業ブログをゼロからスタートする際、状況に応じてカスタマイズした方法を提案します。企業ブログのテーマや方法は、各企業の特性や目標によって大きく異なります。ため、一般的な方法論をまま適用するのではなく、企業ごとにカスタマイズされたアプローチが必要です。もちろん、はじめは何もできない状態でも問題ありません。実際に書きながら学んでいくことを重視し、シンプルに疑問が生まれたら解決するという方法を何度も繰り返します。また、スポット型の支援を通じて徐々にインハウス化を進め、難しい部分だけを委託する外部リソースとしても活用可能です。「企業ブログを始めたい」と考えたとき、まずは初回の無料相談からお声をおかけください。もちろん、必要ないと判断した場合は、依頼しなくても構いません。話を聞くだけでも、十分に検討した上で専門家の判断を聞ける価値があるはずです。>>お問い合わせはこちらまとめ:企業ブログは中長期スパンで考える企業ブログは、一方的な情報発信から顧客との信頼関係構築へと移行し、インバウンドの視点から必要性とその価値が高まっています。企業ブログを成功に導きたいと考えた際には、以下の3つを押さえてください。明確な目的と戦略を持って始める継続的な更新と改善を行う顧客に価値ある情報を提供し続けるしかし、効果は短期的に現れにくく、中長期的な視点で取り組むことが大前提です。導入や運営について不安や疑問がある場合は、ぜひ専門家への相談もおすすめします。