SERPsは、簡単にいうと検索結果で表示されるページのこと。多くの情報を含み、ユーザーは必要に応じてそこから求める結果を選ぶ。通常、ただ結果を見るだけの画面として機能するものだろう。しかし、SEOを踏まえると、SERPsの見方は一変する。そこで、本稿ではSERPsとは何か、どのように分析・調査を行うのかを解説する。検索結果から得られる傾向を読み取れると、ユーザーファーストにより近くなるだろう。なぜなら、単純な検索結果からでも多くの情報を読み取れるからだ。これにより、分析や調査を実施できれば、SEOの施策も洗練できる。また、本稿ではわかりやすい図解と同時に、今後の洞察にも触れる。そのため、気になる部分だけを読んでもらっても構わない。なお、シェア率の高いGoogleを検索エンジンの基本としていることに留意いただきたい。SERPsとは?SERPsとは、Search Engine Result Pagesの略称だ。単一ページを指して、SERP(サープ)と呼ぶこともある。ただ、基本的にはSERPs(サープス)として認識して良い。Search Engine:検索エンジンResult Pages:結果のページ群和訳すると、ユーザーが検索した後に表示される結果のページを指す。結果には後述する多くの内容が含まれ、その表示結果に応じて洞察を得る。なお、SERPsは常に同じものではない。実際には、パーソナライズされた検索結果が表示される。パーソナライズ検索パーソナライズ検索は、SERPsの結果をローカル情報から最適化する仕組みだ。英名だと、Personalized Searchであることから、パーソナライズドと書かれることもある。本稿では、「ド」に違和感があるため、パーソナライズ検索で統一する。この機能は、より検索者に寄り添った情報を提供するための仕組みだ。例えば、猫を検索している人に対しては、犬よりも猫によった結果が表示される。一方で、カフェと検索しただけでも、ローカル情報を用いて近くのカフェを探すだろう。このようなパーソナライズされた検索結果を提示するため、パーソナライズ検索と呼ばれる。「ちょっと待て、検索キーワード以外に情報が漏れているのでは」この点に気づけたあなたは、素晴らしい観察眼の持ち主だ。実は、このSERPsの表示には多くの情報が使われている。パーソナライズ検索で使われる情報SERPsの結果に関する、パーソナライズ検索では以下の情報が使われている。検索キーワード:検索窓に入力したキーワード検索履歴:過去の検索履歴閲覧履歴:過去に閲覧したウェブサイト位置情報:デバイスの現在位置デバイス情報:使用しているデバイスの種類ブラウザ情報:使用しているブラウザの種類クッキー:Webサイトから発行された情報IPアドレス:インターネット接続に割り当てられた番号これらは、あくまでも例としてGoogleが確認・管理する*ものだ。もちろん、すべてが漏れているわけではない。いわゆる、Cookie(クッキー)やブラウザの設定が反映されている。Cookieを提供する、しないはユーザーに委ねられているが、一定の情報は自動収集されているのだ。これによって、先ほど触れたパーソナライズ検索が実現している。では、SERPsの前提を知った上で、次項では何が表示されるのかを見ていこう。*Googleプライバシーポリシーhttps://policies.google.com/privacySERPsに表示される検索結果の内容SERPsに表示される結果は、以下の代表例を含めて多岐にわたる。バーティカル検索有料広告(Google広告等)SGE記事コンテンツPAA(People Also Ask)ユニバーサル検索リッチリザルトアンサーボックスその他まずは、それぞれがSERPsでどのように表示されるか、概要を含めて触れる。バーティカル検索バーティカル検索とは、検索窓のすぐ下に出てくるGoogleの検索機能の1つだ。画像、動画、ニュース、地図などのジャンルに分かれており、絞り込みを行える。つまり、検索結果をより好みに仕上げるためのフィルターとして機能しているものだ。バーティカル検索の多くは、主にユーザーのために作られている。しかし、この利用が増えるようなケースでは洞察が必要となるかもしれない。有料広告(Google広告等)有料広告は、スポンサーと書かれた最上部の検索結果だ。GoogleYahoo!Bingなどの検索エンジンで、それぞれの広告を運用している。主な機能は、指定した検索キーワードにおいて、通常のページより最上部に表示されることだ。これにより、高い露出度とターゲティング性を確保できるだろう。ただし、一部のユーザーが使うブラウザではブロックされて表示されない(Sidekick Arc等)。加えて、広告しない検索キーワードも存在する。そのため、表示は必ず行われるものではないことも覚えておこう。SGESGEとは、Google Search Generative Experienceを指す。いわゆる、Googleの運営するGemini(AI)による自動回答だ。より幅広く、詳細な情報を提供する役割を担っている。イメージしやすいものとしては、各コンテンツのまとめ(昔でいうNAVERまとめ)が近いだろう。テスト段階ではあるが、今後も一部のユーザーに対して表示される見込みだ。また、有効的な結果が得られた場合、一般ユーザーへも展開される。記事コンテンツ記事コンテンツとは、タイトルとそのリンク、説明文等を指す。いわゆる、通常の検索結果で得られる各社が作成したWebページだ。SERPsの基本となる情報で、主に10ページを表示する。有料広告の本数によっては、10ページ以下になることも特徴の1つ。そして、記事コンテンツは、1位から順位が割り当てられる。SEOにおけるランキングは、この記事コンテンツが担っているわけだ。そのため、SEOで上位表示と言われたら、記事コンテンツの中でも一番上を示す。つまり、コンテンツSEOではこのWebページを作成し、上位表示を目指すことになる。PAA(People Also Ask)PAAは、People Also Askの略称を指す。和訳すると、「人はこうも尋ねる」となる。日本語では、「他の人はこちらも質問・関連する質問」などと表示される部分だ。PAAによりユーザーは、検索を繰り返すことなく結果が得られる。また、サイト運営者であれば回答と出典が表示されることになる。つまり、PAAに取り上げられると、自社コンテンツの露出度を高められるということだ。しばしば後述するアンサーボックスと混同されるが、別の部分に表示される。なお、PAAはテスト中と考えられ、表示名が異なることもあるため留意してほしい。ユニバーサル検索ユニバーサル検索とは、記事コンテンツ以外に表示されている結果を指す。具体的には、画像・動画・地図・ローカル情報・商品・映画などの情報がこれに該当する。このユニバーサル検索は、以下の2つに分類される。ナレッジパネル:SERPsの右側に用意されたサイドバーにある情報ローカルパック:地図と同時に店舗を表示するローカル情報ユニバーサル検索の情報は、主にMEOやSEOにおけるローカル対応で使われる。ローカルパックの細かい設定は、ビジネスオーナーなら対応しておくと良いだろう。リッチリザルト(リッチスニペット)リッチリザルトとは、記事コンテンツのタイトルや説明文以外の情報を指す。例えば、以下が挙げられるだろう。パンくずリスト:階層順にリストアップされた情報レビュー評価:星や数値によって表示されるレビュー情報レシピ:完成イメージとレシピサイトリンク*:メインページとは別のサブページへのリンクFAQ:情報に応じたアンサー情報こうした情報は、ユーザーの利便性を高めるために表示される。ただし、表示はSERPsの傾向やパーソナライズの状態によって異なる。つまり、必ずしも表示されるものではないということを覚えておこう。*Google 検索セントラル - サイトリンクの定義と表示についてhttps://developers.google.com/search/docs/appearance/sitelinks?hl=jaアンサーボックスアンサーボックスとは、検索キーワードに対する回答を最上部に表示する仕組みだ。別名では、ダイレクトアンサー(直接的な回答)とも呼ばれる。このアンサーボックスにも種類があり、以下が挙げられる。強調スニペット:端的に回答するサイトの一部を強調表示するナレッジカード:関連する情報の結果を示す情報カードライブリザルト:株価や天気などをライブ表示する主に、検索意図が明確で信頼できる情報も存在するものに対する回答だ。強調スニペットと同様に、非常に簡潔にユーザーが回答を得る手段となる。その他その他には、ニーズ別に最適化されたSERPsが該当する。例えば、ショッピング情報や求人情報などが当てはまるだろう。また、本稿では触れていないSERPsの種類もある。なぜなら、パーソナライズ検索に近い情報提供方式は、今後も増える見込みだからだ。次項では、SERPsに表示される情報から得られるSEOの洞察に触れる。もし、よりSEOの施策を洗練したいと考えているなら、参考にしてほしい。SEOにおけるSERPs分析・調査の具体例ここからは、以下に分けてSEOにおけるSERPs分析の具体例を伝える。タイトルや説明文からのニーズ推測SGEを見据えたマルチチャネル戦略なお、いずれも弊社が利用している方法であり、誰でもできることだ。分析においては、オリジナルの指標を用いていることもある。さらに、誰もが1位を目指すことから日々努力を続けている分野だろう。だからこそ、SERPs分析のファーストステップとして活用してほしい。記事コンテンツの可否調査いきなりだが、最初に記事コンテンツが最適かを調査しよう。なぜなら、SERPsには豊富な種類があり、記事コンテンツはその一部だからだ。例えば、検索結果が楽天やAmazonのようなECの商品で埋まっていたらどうだろう。その検索キーワードに対し、新たに記事コンテンツを投下しても効果は薄い。一方、検索キーワードに対して情報が少ない領域ならどうだろうか。もしかしたら、これまで以上に素早く上位を狙える可能性があるかもしれない。これは、レッド・ブルーオーシャンとも表現されていたものだ。競合が少なく、ニッチな検索意図を満たせるならブルーオーシャンと言える。逆はレッドオーシャン、つまり競合が多く非常に戦いづらい領域だ。弊社でも、実際にブルーオーシャンの領域をまだ見つけられている(2024年2月)。結果として、半年が経過する前に上位記事を量産した。そのため、最初のSERPs分析、調査としては忘れずに行いたいところだ。タイトルや説明文からのニーズ分析SERPsに表示されるタイトルや説明文からは、ユーザーの検索意図が読み取れる。なぜなら、どのような情報・問題・行動を取ろうとしているかがわかるからだ。表示タイトルで共通するのは?説明文では何を伝えている?ユーザーはこれを見て何を達成したい?などの視点から見てみよう。例えば、よくある言葉を使うなら顕在ニーズや潜在ニーズが挙げられるだろう。顕在ニーズであれば、タイトルや説明文に直接的な表現が使われている。「〇〇のやり方」「〇〇の選び方」「〇〇の比較」は顕在ニーズの表れだ。一方で、潜在ニーズは、タイトルや説明文に間接的な表現であることが多い。「失敗しない〇〇」「やりがいのある〇〇」「〇〇は?将来性や〜〜」などが例だろう。直接ではないものの、ユーザーが抱えている潜在的な部分に触れている。結果、失敗しない〇〇の方法を知りたいと予想できる。このように、タイトルや説明文だけでも、一定のユーザーの検索意図を分析できるはずだ。強調スニペットの調査SERPsには、しばしば強調スニペットが表示される。この強調スニペットは、検索結果の最上部に表示されることからぜひ取得したい。何を書いて、どのように伝えているのか、などを調査しよう。その結果、強調スニペットを狙えるよう記事コンテンツに含められる。加えて、強調スニペットはユーザーがほしい回答を示すものだともいえる。先に触れたように、タイトルや説明文からのニーズ分析と合わせて使うのも良いだろう。SERPsの表示に対する最適化の調査SERPsでは、以下のリッチリザルトが含まれるため、それぞれの最適化も調査して検討する。パンくずリスト:階層順にリストアップされた情報レビュー評価:星や数値によって表示されるレビュー情報レシピ:完成イメージとレシピサイトリンク:メインページとは別のサブページへのリンク(*)FAQ:情報に応じたアンサー情報パンくずリストがないなら実装し、レビュー等があるなら明示的にしよう。サイトリンクは、別の関連性の高いサブページを作成すると可能性が高まる。また、PAAまで踏まえながら、FAQを盛り込むと記事コンテンツも充実する。細かい部分だが、SEOの評価を総じて高めるなら必要となるだろう。ユニバーサル検索を活用したローカル対応SERPsで表示されるユニバーサル検索を見つけたら、ローカル対応も必要だ。例えば、飲食店や店舗型サービスの場合、表示されている情報を正しく変更する。この点においては、SEOではなくMEOの領域。まず、ビジネスオーナーなら最新の情報に変更しよう。「ビジネスオーナーですか?」と書かれていたら、認証して変更するだけで良い。その後、SEOでの露出を増やすなら、店舗系ではローカライズされた情報が必要となるはず。「〇〇県で〇〇なら〜〜」はよく見かけるだろう。これは、特定の領域でビジネスを実施している企業にも言える。特定の地域(東京や23区名など)の検索キーワードにおいて露出度を高めるということも考えられる。SERPsの上位表示を獲得するにはその他の洞察も必要SERPsにおいて、記事コンテンツの上位表示を獲得するには、その他の洞察も必要となる。なぜなら、SERPs以外にも上位へ押し上げている要因が少なからずあるからだ。簡単に調査できるものでも、ドメインランクからトラフィックに至るまで多くの情報がある。そのほかにも、以下は調べるべき情報として挙げられるだろう。上位のサイトが有する規模、網羅力、権威性上位のサイトが有するその他の検索キーワード発リンク・被リンクの総数、その質SNS等のシェア率、頻度ページ内部でのユーザー行動、滞在率地域性(ローカライズ)読み込み速度、モバイル対応の可否このように、SERPsから得られる分析や調査結果には限りがある。だからこそ、SEOは多くの知識とスキルが求められ、結果として複雑化しているのだ。とはいえ、SERPsの分析は費用もかけずにできる施策の1つとなる。そのため、積極的に試してほしいと筆者は思う。2024年ではSGEを見据えたマルチチャネル戦略も必要となる今後のSEOでは、SERPsに含まれるSGEへの対策も必須となってくるだろう。なぜなら、テストですでに検索結果を押し下げて表示されているからだ。SGEがない場合、1位のクリック率は39.8%*となっている。しかし、以下の結果としてクリック率が総じて下がる可能性は十分にある。素早く検索結果を得られるSERPsのコンテンツを押し下げるそのため、SGEが一般的に本格導入されることを想定したSEO基盤が必要だ。例えば、SNSやYouTubeを活用したマルチチャネル戦略がその最たるものだろう。こうした洞察を得られるのも、SERPsならではともいえる。*Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2024https://firstpagesage.com/reports/google-click-through-rates-ctrs-by-ranking-position/画像出典: Google:生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介https://japan.googleblog.com/2023/08/search-sge.htmlまとめ:SERPsの分析・調査からはじめよう本稿では、SERPs(Search Engine Result Pages)の定義とその重要性について詳しく解説した。簡単に要約すると、以下のとおりだ。SERPsはユーザーが検索した後に表示される結果のページを指す。結果はユーザーに合わせてパーソナライズされる。分析・調査によってSEOの洞察を得られてユーザーファーストにより近くなる。ただ、あくまでも得られる分析・調査結果はユーザーの傾向を推測する情報の1つだ。そのため、SERPsの結果だけにとらわれず、多角的なアプローチを心がける必要があるだろう。