ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に画像や動画で表示され、潜在層に認知を広げる広告のことです。検索結果に表示されるリスティング広告とは役割が異なり、同じWeb広告でも得意なフェーズが違います。

この違いを踏まえずに広告を選ぶと、自社に合わない広告に予算を使ってしまいかねません。

今回は、ディスプレイ広告とリスティング広告の違いから、フォーマットや課金方式といった基本まで解説します。あわせて紹介するのは、私たちが積極的におすすめしていない理由と、向いているケースです。

この記事でわかること

  • ディスプレイ広告とリスティング広告は届く相手も見え方も異なること
  • 広告フォーマット・配信媒体・課金方式といった基本の仕組み
  • ディスプレイ広告を積極的におすすめしていない3つの理由
  • 自社にディスプレイ広告が向いているかを判断する基準

ディスプレイ広告とは何か

ディスプレイ広告とリスティング広告の位置づけの違いを示す図解

この広告は、検索エンジンの検索結果ではなく、ニュースサイトやアプリの広告枠に表示される仕組みです。画像や動画のクリエイティブを使うため、バナー広告と呼ばれることもあります(用語:クリエイティブ=広告に使う画像や動画の素材)。

国内のインターネット広告費は3兆6,517億円に達し、マスコミ4媒体の広告費を上回る規模まで拡大しています※1。このなかでディスプレイ広告は、検索連動型のリスティング広告と並ぶ主要な出稿手段の1つです。

検索結果に文字だけで表示されるリスティング広告に対し、ディスプレイ広告は画像や動画でビジュアルに訴求できる点が特徴です。ディスプレイ広告は、ユーザーが自ら検索した直後に表示されるリスティングとは異なります。ニュースを読んでいる最中や記事を閲覧している最中など、別の行動をしている合間に目に入ります。

ディスプレイ広告とリスティング広告の3つの違い

ディスプレイ広告とリスティング広告の3つの違いを示す図解

ディスプレイ広告とリスティング広告は、同じWeb広告でも表示される場所やアプローチできる相手が異なります。違いは以下の3つに分けられます。

それぞれの違いを順に見ていきましょう。

表示される場所とタイミングの違い

ディスプレイ広告はWebサイトやアプリの広告枠に配信され、ユーザーが別の情報を見ている最中に表示されます。

一方でリスティング広告は、ユーザーが検索窓にキーワードを入力した直後、検索結果画面に表示される仕組みです。ニュースを読んでいる最中に目に入るディスプレイ広告に対し、リスティング広告は自ら情報を探しに来た瞬間に表示されます。両者では、ユーザーが広告を目にするタイミングそのものが異なります。

アプローチできる読者層の違い

ディスプレイ広告は、まだ検索という行動を起こしていない潜在層への接触が中心になります。

画像による気軽なクリックが起きやすく、比較・検討や検索まで至っていない層の比率が上がりやすい点が特徴です。一方でリスティング広告は、自らキーワードを入力して検索した顕在層に届くため、すでにニーズが顕在化している層へアプローチできます。

広告の見え方と訴求方法の違い

ディスプレイ広告は画像や動画でビジュアル訴求ができる一方、リスティング広告はテキストのみで検索意図に直接応える訴求になります。

商品やサービスの世界観、雰囲気を伝えたい場合はディスプレイ広告のほうが表現の幅が広くなります。ただし、検索している人が今まさに知りたい答えに直接応えられるのは、テキストで完結するリスティング広告の強みです。

3つの違いを表で整理すると、以下のとおりです。

項目 ディスプレイ広告 リスティング広告
表示される場所 Webサイトやアプリの広告枠 検索結果画面
表示されるタイミング 別の情報を見ている最中 検索した直後
アプローチできる層 潜在層が中心 顕在層が中心
訴求方法 画像・動画 テキスト

ディスプレイ広告の基本を先に押さえる

ディスプレイ広告を検討する前に、まず基本的な仕組みを押さえておく必要があります。基本は以下の3つに分けられます。

主な広告フォーマットとサイズ

ディスプレイ広告の主なフォーマットは、静止画のバナー広告と、複数サイズを自動生成するレスポンシブ広告の2つです。

バナー広告では、300×250、728×90、320×50といったサイズが代表的で、一般的によく使われています。レスポンシブ広告は、画像とテキストを入稿する広告形式です。配信面に合わせて、サイズやレイアウトが自動で調整されます(用語:レスポンシブ=画面サイズに応じて表示形式が自動で変わること)。

配信できる媒体(GDNとYDA)

ディスプレイ広告は、GoogleのGDNとYahoo!のYDAという2つの媒体から配信できます。

項目 GDN YDA
正式名称 Googleディスプレイネットワーク Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)
主な配信面 Google系列のニュースサイト・アプリ・YouTubeなど Yahoo! JAPANとその提携先

どちらも配信面が広く、細かなターゲティング設定を組み合わせて配信先を絞り込めます。

主な課金方式(CPCとCPM)

ディスプレイ広告の課金方式は、クリックごとに費用が発生するCPCと、表示回数に応じて費用が発生するCPMの2つが中心です。

項目 CPC(クリック課金) CPM(インプレッション課金)
費用が発生する条件 クリックされたとき 一定回数表示されたとき
向いている目的 クリックからの反応を重視したいとき 認知拡大を重視したいとき

目的に応じてどちらの課金方式を選ぶかを決めるのが基本的な考え方です。

ディスプレイ広告の主な広告フォーマットを示した図解
ディスプレイ広告を配信できる2つの媒体(GDNとYDA)を示した図解
ディスプレイ広告の主な課金方式(CPCとCPM)を示した図解

ディスプレイ広告をあまり勧めない3つの理由

ディスプレイ広告を積極的に勧めない3つの理由を示す図解

私たちは、ディスプレイ広告を積極的にはおすすめしていません。理由は以下の3つに分けられます。

クリックされやすい分だけ想定外に予算が減りやすい

ディスプレイ広告は画像による気軽なクリックが起きやすく、想定より早く予算を消化してしまいます。

私たちの運用経験では、月5万円程度からでも配信自体は可能です。ただし、クリックされやすい分だけ消化が早いという特徴があります。検討段階に至っていない潜在層によるクリックの比率が上がりやすく、その分だけ顕在層には届きにくくなります。

配信設定でのユーザーの絞り込みや、クリエイティブの差し替え、文言の調整は、無駄クリックを防ぐための対策です。ただし、広告の仕組み自体がクリックされやすい方向に働くため、無駄クリックを完全にゼロにすることはできません。

反応率が高く見えても転換率はリスティングより低い

ディスプレイ広告は、クリック数だけを見ると好調に見えても成果につながりにくい傾向があります(用語:CVR=コンバージョン率。クリックした人のうち、問い合わせや購入に至った割合)。

画像による訴求は目を引きやすく、クリック自体は起きやすい広告です。比較・検討や購入の段階に入っていない層のクリックが占める比率も、その分だけ上がりやすくなります。

数字だけを見ると反応が良く見えても、その先の成果にはつながりにくいのはこのためです。だからこそ、クリック率の高さだけでディスプレイ広告の効果を判断しないよう注意が必要です。

潜在層中心のため顕在層に届きにくい

ディスプレイ広告は、まだ検討段階に入っていない層への接触を得意とする分、今すぐ客には届きにくいという性質があります。

そのため、今すぐ客に近い顕在層を狙いたい場合は、まず検索行動を起こしているユーザーに届くリスティング広告からはじめるようおすすめしています。検索という土台ができてから画像訴求を重ねるほうが、狙った層に届きやすくなるためです。

一例として、早く集客したいという相談から、先にディスプレイ広告の実施を希望されたケースがありました。そのケースも今すぐ客に近い顕在層を狙いたいとのことだったため、上記の考え方に沿ってリスティング広告からのスタートをおすすめしました。

3つの理由をリスティング広告との対比で整理すると、以下のとおりです。

項目 ディスプレイ広告 リスティング広告
予算の減り方 クリックされやすく、想定より早く消化しやすい 検索意図に沿ったクリックが中心で、想定より早く消化することは少ない
クリックからの転換率 反応率は高く見えても、転換率は低くなりやすい クリックが顕在層中心のため、転換率は高くなりやすい
届きやすい層 潜在層が中心 顕在層が中心

ディスプレイ広告が向いている3つのケース

ディスプレイ広告が向いている3つのケースを示す図解

ディスプレイ広告が向いているのは、条件が限られたケースです。向いているケースは以下の3つに分けられます。

商品を販売するECサイトなど「モノ」を売る場合

画像で商品の魅力を直接伝えられる分、実際に商品を扱うECサイトとの相性が良い広告です。

商品そのものの見た目や使用シーンを直感的に伝えやすいため、購入を後押ししやすくなります。医療系や車関連の業種であっても、ECサイトのように商品を販売する形態であれば、ディスプレイ広告を検討する余地があります。反対に、サービス業や来店・問い合わせが主な成果になる業種では、優先度は下がるでしょう。

新商品や新サービスを一時的に知らせたい場合

まだ広く知られていない商品やサービスの存在を、期間を区切って伝えたい場面にも適しています。

まだ検索されるほど認知が広がっていない段階では、リスティング広告だけでは届く母数自体が限られます。こうした場面で向いているのは、画像で存在を知らせるディスプレイ広告を一時的に活用する使い方です。

リスティングで検索の土台ができたあとの拡張

検索経由の集客がすでに機能している状態であれば、次の拡張先としても検討できます。

特定のキーワードで検索されるようになった状態であれば、同じキーワードに対して画像でも訴求できます。検索とディスプレイの両面から接点を増やせる点が、この段階ならではの強みです。

ディスプレイ広告をはじめる前の2つの確認ポイント

ディスプレイ広告を始める前の2つの確認ポイントを示す図解

ディスプレイ広告をはじめる前に、確認しておきたいポイントがあります。確認ポイントは以下の2つに分けられます。

まずリスティング広告で顕在層を獲得できているか

最初に確認すべきは、検索という入り口からすでに問い合わせや購入につながっているかです。

私たちは基本的に、ディスプレイ広告よりもまずリスティング広告を優先しておすすめしています。リスティング広告での獲得がまだ安定していない段階でディスプレイ広告に予算を割くと、限られた予算が分散します。

その結果、どちらも中途半端になりかねません。リスティング広告での獲得が安定してから、拡張の選択肢としてディスプレイ広告を検討する順番をおすすめします。

年齢層によってはYahooリスティングも選択肢にする

リスティング広告を拡張する際は、ターゲットの年齢層に応じてGoogle以外の検索広告も視野に入れておく必要があります。

具体的には、まずGoogleだけでなくYahoo!のリスティング広告も検討します。ただし、これはターゲットとなる年齢層がYahoo!のユーザー層と重なっていることが前提です。自社の顧客層がどの媒体のユーザーと近いかを踏まえたうえで、拡張先を選ぶ必要があります。

ディスプレイ広告が自社に合うか迷っていませんか

ディスプレイ広告が自社に合うか迷っている場合は、まず一度、私たちに話してください。

ディスプレイ広告を検討する前に、本当に自社にマッチする広告なのかを改めて整理することをおすすめしています。悩んでいる場合は、まずリスティング広告からスタートするのがベターなケースがほとんどです。

何が気になっているのかも含めて、お気軽にご相談ください。

参考・出典情報