リターゲティング広告とは、一度自社サイトを訪れたユーザーに対して、離脱後も再度広告を届ける仕組みです。「サイトの規模が小さくても配信できるのか」「そもそも何から手をつければいいのか」と迷う方は少なくありません。

今回は、リターゲティング広告の仕組みからはじめる前に確認すべきこと、メリット・デメリット、自社に向いているかの判断基準まで解説します。

この記事でわかること

  • リターゲティング広告の基本的な仕組みと配信までの流れ
  • 小規模サイトでも成立する条件
  • 始める前に確認しておくべきこと
  • 自社に向いているかを判断する基準

リターゲティング広告とは訪問者に再度広告を出す仕組み

リターゲティング広告の位置づけを示す図解

リターゲティング広告とは、一度サイトに訪れたユーザーの行動データをもとに、離脱後も同じユーザーへ広告を配信し続ける手法です。Google広告では、この手法を「リマーケティング」と呼びます(用語:リマーケティング=リターゲティングとほぼ同じ意味で使われる呼び方)。

一度サイトを見て離脱したユーザーは、何もしなければそのまま接点が途切れてしまいます。リターゲティング広告は、そのユーザーがほかのサイトやSNSを閲覧している間にも広告を表示し、再びサイトへ呼び戻す役割を果たします。

通常のリスティング広告との違いは、配信対象の範囲です。

項目 通常のリスティング広告 リターゲティング広告
配信対象 検索したユーザーへ広く配信 すでにサイトへ関心を持ったユーザーのみに配信

小規模サイトでも100人前後から成立する

リターゲティング広告は、サイトの規模が小さくてもはじめられます。配信に必要な最低人数は媒体・ネットワークで異なります※1※2※3

媒体 配信に必要な最低人数
Google広告(ディスプレイネットワーク) 100人以上(過去30日間のアクティブユーザー)
Google広告(検索広告・RLSA) 1,000人以上
Yahoo!広告 1,000件以上

Google広告のディスプレイネットワーク(GDN)では、厳密な条件は必要ありません。一度サイトを訪問した人だけを対象にすれば、100人程度からでも配信が成立します。

一方、検索広告での再配信(RLSA)やYahoo!広告では、1,000件規模のリストが必要です。対象の媒体・ネットワークによって、成立ラインが異なる点に注意してください。

あるお客様の場合は、Meta広告で470人前後のリターゲティングリストから配信を成立させた実績があります。ただしMeta広告には公式に示された最低人数の目安が公開されておらず、この数字は一事例にすぎないため、一般的な基準として当てにはできません。リストの人数が足りない場合は、まず通常のリスティング広告を配信し、訪問データを蓄積しながら対応すると良いでしょう。

リターゲティング広告が配信されるまでの3ステップ

リターゲティング広告が配信されるまでの3ステップを示す図解

リターゲティング広告は、ユーザーの行動データをもとに、段階を踏んで配信される仕組みです。配信までの流れは、以下の3つのステップに分けられます。

Cookie・タグでユーザー行動を記録する

サイトに設置したタグが訪問者のブラウザにCookie(用語:ブラウザに一時的に保存される識別情報)を書き込み、行動データを記録します。閲覧したページやアクセス日時などが、ここに記録される主な情報です。

このタグは、配信したい広告アカウント側から発行されるコードをサイトに埋め込むことで機能します。タグを設置していないページでは行動データを記録できないため、リターゲティングを検討する時点でタグの設置状況を確認しておく必要があります。

記録したデータをリストにまとめる

記録された行動データは、配信条件ごとにリストとしてまとめられます。

例えば「トップページのみ訪問したユーザー」や「商品ページまで閲覧したユーザー」のように、行動内容に応じてリストを分けられます。配信したい相手を絞り込めるのが、この分類の狙いです。リストの分け方が細かいほど、狙った相手にピンポイントで配信しやすくなります。

リストをもとに広告を再配信する

作成したリストを広告アカウントに連携すると、リストに含まれるユーザーがほかのサイトやSNSを閲覧した際に広告が表示されます。

配信のタイミングや表示回数は、広告アカウント側の設定で調整できます。

リターゲティング広告をはじめる前に確認すべき3つのこと

リターゲティング広告を始める前に確認すべき3つのことを示す図解

リターゲティング広告は、単独ではじめる施策ではありません。着手する前に確認しておくべきことは、以下の3つに分けられます。

通常のリスティング広告が正常に配信できているか

リターゲティング広告を検討する前提として、まず通常のリスティング広告が正常に配信できているかを確認する必要があります。

リターゲティング広告は、通常配信の拡張として位置づけると効果を出しやすくなります。通常配信ができていない状態でリターゲティングだけをはじめても、そもそも配信対象となるリストが十分にたまりません。何の目的でリターゲティングを狙っているのか、本当にその手法が自社に合っているのかを、着手前に考えておく必要があります。

何のためにリターゲティングを使うのかを明確にする

目的を明確にしないままリターゲティングをはじめると、期待した効果につながりにくくなります。

例えば「離脱した見込み客を呼び戻したい」のか、「商品ページまで見た人だけに絞って再アプローチしたい」のかで、目的は分かれるでしょう。目的によって、作成すべきリストの条件も変わります。目的をあいまいにしたまま配信をはじめると、狙いとは違う相手にばかり広告が表示されかねません。

配信できる主な媒体を把握する

リターゲティング広告は複数の媒体で配信でき、媒体ごとに名称や配信先が異なります。

媒体 名称 主な配信先
Google広告 リマーケティング 検索結果・提携サイト・YouTubeなど
Yahoo!広告 ターゲットリスト Yahoo! JAPANとその提携サイト
Meta広告 カスタムオーディエンス Facebook・Instagram

自社の顧客層がよく利用する媒体はどこかを踏まえたうえで、配信先を選ぶ必要があります。

リターゲティング広告のメリット

リターゲティング広告のメリットを示す図解

リターゲティング広告には、通常配信だけでは得にくい独自のメリットがあります。ここでは、その具体的な内容を解説します。

離脱した見込み客に再アプローチできる

リターゲティング広告の代表的なメリットは、離脱したユーザーへ再びアプローチできる点です。

すでにサイトへ関心を示したユーザーだけに絞って配信するため、無関心な相手に届く広告よりも興味を持ってもらいやすくなります。検討を途中でやめてしまったユーザーに、もう一度サイトを思い出してもらうきっかけをつくれる点が強みです。

リターゲティング広告のデメリット・対策法

リターゲティング広告のデメリットと対策を示す図解

リターゲティング広告のデメリットは、同じ広告が繰り返し表示され、ユーザーにしつこい印象を与えかねない点です。原因と対策の2つにわけて見ていきます。

しつこいと感じられるリスクがある

同じ広告が何度も表示されるのは、配信の設定次第で起こる問題です。

フリークエンシー(用語:1人のユーザーに広告が表示される回数)を設定しないまま配信すると、表示回数の上限がなくなります。何も対策しなければ、5回・10回・20回と際限なく同じ広告が表示され続けることがあります。ユーザーからすれば、狙って追いかけられているように感じられ、サイトやブランドそのものへの印象が悪くなりかねません。

フリークエンシー管理でしつこさを防ぐ

フリークエンシーを管理すれば、しつこさは防げます。

具体的には、1人のユーザーに対する表示回数の上限を、広告アカウント側で設定します。上限を適切な範囲に絞れば、再アプローチの機会を保ちながら過剰な表示を避けられるでしょう。設定を見直すだけで解決できる問題であるため、しつこいと感じられることを理由にリターゲティング自体を避ける必要はありません。

フリークエンシーの有無による違いをまとめると、以下のとおりです。

項目 フリークエンシー未設定 フリークエンシー設定
表示回数の上限 なし あり(広告アカウント側で設定)
ユーザーへの印象 しつこさにつながりやすい しつこさにつながりにくい

リターゲティング広告が向いているかの3つの判断基準

リターゲティング広告が向いているかの3つの判断基準を示す図解

自社にリターゲティング広告が向いているかは、以下の3つの基準で判断できます。

まず通常配信を試してから追加を検討する

私たちの支援方針では、リターゲティング広告をほかの手法と比べて優先度高くは位置づけていません。

まず通常のリスティング広告を配信し、正常に機能しているかを確認したうえで、リターゲティングを追加するかを検討する順番が基本です。通常配信を後回しにしてリターゲティングからはじめると、限られた予算が分散しやすくなります。

検討期間の長さより効果の伸びで判断する

配信期間は、商品やサービスの検討期間の長さではなく、実際に出た効果の伸びで判断します。

効果が出る配信期間の目安は媒体によって異なり、一律の数字はありません。検討期間の長さだけで配信期間をあらかじめ決め打ちすると、実際の反応とずれた期間で判断を下しかねません。

リスティングの拡張として位置づける

リターゲティング広告は、独立した新規施策としてではなく、通常配信に付随する施策として捉えると判断を誤りにくくなります。

リターゲティングを最初の一手として位置づけてしまうと、通常配信が不十分なままリストが育たず、期待した効果にはつながりにくいでしょう。反対に付随する施策として捉えておけば、通常配信の状態を見ながら導入時期を自然に判断できます。

リターゲティング広告は自社に合っているか相談してみませんか

リターゲティング広告が自社に合っているか迷っている場合は、まず一度、私たちに話してください。

通常のリスティング広告がどこまで機能しているかによって、リターゲティングを検討すべきタイミングは変わります。何の目的で導入したいのかも含めて、お気軽にご相談ください。

参考・出典情報